「リーチ力・支出喚起力ランキング」について

2020年8月18日、博報堂が『コンテンツビジネスラボ「リーチ力・支出喚起力ランキング」~「コンテンツファン消費行動調査2020」より~』を公開し、Snow Manの名前が挙がっていたため話題となった

 

www.hakuhodo.co.jp

 

大変興味深い調査だったため、備忘録も兼ねて分析し、まとめておこうと思う

 

 

①コンテンツビジネスラボとは?

 

この調査を行った「コンテンツビジネスラボ」とは一体どういった機関か?

株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ株式会社博報堂との共同研究プロジェクトである

この株式会社 博報堂DYメディアパートナーズは博報堂、大広、読売広告社経営統合により設立された博報堂DYホールディングスの100%子会社である

この会社では、メディア関連の計画、プロデュース、販売、調査などを担当しているようである(詳しくはHPを読んでみてください)

 

 

②「リーチ力・支出喚起力ランキング」について

 

2013年頃(もう少し前からありそうだが、見つけられる範囲だと2013年)から同名で調査結果を報告している、コンテンツビジネスラボの独自指標を用いたランキングである

2020年度版では11カテゴリ、合計1000以上のコンテンツに関するランキングを算出したものとのこと

 

リーチ力:そのコンテンツが一年間に到達できる人数を表す指標

支出喚起力:コアファンによる、年間の関連市場規模の指標

 

一言でまとめると上記のようになる

つまり、「人数」と「市場規模(支出)」を算出し、ランキング化、グラフ化した結果である

リーチ力が高ければ、タイアップやCM、PRの影響力が高いと判断される

支出喚起力が高ければ、ファンによる購買を目的とした時の、売上が多くなると推測できる

簡単に言えば、リーチ力が高ければ、より多くの人に情報を届けることができる物や人物であると判断され、支出喚起力が高ければ、より売上が高くなると期待されることとなる

 

このデータの調査内容について確認しておく

 

www.hakuhodody-media.co.jp

 

上記サイトからニュース詳細のpdfファイルを開くと、今回の調査について以下のように記載がある

 

【抜粋】-----
・ 調査⽅法︓インターネット調査
・ 調査地区/対象者︓全国15〜69 歳の男⼥ (全国7 エリアを性年代別⼈⼝構成⽐で割付)
・ 有効回収サンプル数︓5000 サンプル
※短時間回答者・下位5%サンプルカット
※⼈⼝構成⽐に合わせウェイトバック集計
※2019 年調査以降︓PC or スマートフォン インターネット利⽤者
・ 調査時期︓2020 年2 ⽉14 ⽇(⾦)〜25 ⽇(⽕)
【抜粋終わり】-----

 

これは、今回の調査をした対象について詳細に提示したデータである

これについて、私なりの解説をふせったーでしたので、ご興味があればこちらを読んでいただくとよいかと思う

ここでは簡単に説明すると、5000の回答を全国7か所の男女比、年齢比、人口構成比で集計(ウェイトバック集計)し、短時間回答者の5%をカットすることで、故意にいずれかのコンテンツの数値を押し上げることのないよう配慮したデータを使い、統計学を用いて影響力などを推察したということだと思う

 

私の個人的な感覚になるが、博報堂は広告代理店の大手3社の1社であり、そこが100%出資した子会社と共同プロジェクトとして7年以上続けてきた調査であることから、ある程度信頼度の高いデータなのではないかと考えている

というか、信頼度が高くないと公表できないし(社名に傷がつくし)、7年続けていく上で徐々にサンプル数が変わっているので、精度を増してきているのではないかと思う

そんなわけで、今回の調査結果については信頼に足るデータとして考察したいと思う

 

 

③2020年度リーチ力・支出喚起力ランキング

 

ここからは『リーチ力・支出喚起力ランキング』ページにある画像を使用させていただく

 

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リーチ力・支出喚起力ランキング(2020年度)

 

まず、リンク先のレポートでまとめられている概要を読んでおいていただきたい

2020年度全体の流れを掴んでおいた上で、Snow Manに特化した部分での考察をしていきたい

 

リーチ力と支出喚起力の両方で1位・2位にランクインしている嵐は、とにかくより多くの人に情報を届けられる上に、売り上げも期待できる、鬼のように強いコンテンツだと分かる

 

リーチ力のみのランキングは、「一般浸透力」と言い換えても差し支えないのではないだろうか

音楽関連で言えば、新曲を発表すればランキングを賑わし、半数以上は紅白歌合戦に出演しているアーティストがランクインしているため、若年層から高齢者まで幅広く知られている人たちだと考えてよいと思う

また、Mr.Children宇多田ヒカルなどは、サブスク解禁の影響もあるのかもしれない

映画やアニメに関しては、ほとんどブームになっているもので、街中を歩けば大抵目にするキャラクターが多く並んでいる

NEWは2019年に20位以内になく、2020年に20位以内に入ってきたものということで、NEWが付いていないものは「長期的に一般認知度の高いコンテンツ」、付いているものは「今年急激に一般認知度を上げたコンテンツ=ブームになっている」と考えるのが妥当である

 

次に、支出喚起力のランキングだけを見ると、いわゆる「ヲタクを有しているかどうか」のランキングと言ってもいいのではないだろうか

主にアイドル、アーティスト、キャラクターが連なっている

リーチ力ランキングは、NEWがついていないものは「長期間一定水準以上の売り上げが見込める大型コンテンツ」であり、NEWがついているものは「直近で一定の水準以上の売り上げが見込めるようになったコンテンツ」と考えられる

そのため、デビューしたばかりのSnow Manだけではなく、Kis-My-Ft2もNEWだし、スターウォーズターミネーターもNEWである

何が起因しているかはわからないが、Snow Manに関して言えば、完全に増員からのデビューが影響を及ぼしていると考えいいと思う

 

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コメント

上記のように先の資料ではコメントを書いていただいている

 

 

④リーチ力・支出喚起力マッピング

 

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リーチ力・支出喚起力マッピング

上記は、リーチ力を横軸に、支出喚起力を縦軸にとってマッピングしたものである

ようするに、右上に行けば行くほど、「一般認知度が高く」「高い売上が見込める」コンテンツということ

先ほどのランキングの項でも書いたが、今回右に行けば行くほど「今流行っている」コンテンツ、上に行けば行くほど「売り上げが見込める」コンテンツである

 

まずは全体としてみると、やはり「多くの人に知られていて、高い売り上げが見込める」コンテンツとして、『嵐』があるのがよく分かる

さらに、『乃木坂46』『King & Prince』と斜めに並んでいる

これは「一般認知度」と「売上」がどちらも平均的に高いことを意味する

この2グループに関しては、現状「一般認知度」がさらに上がれば「売上」もさらに上昇していくと推測されるグループだと思う

 

右端に『米津玄師』と『Officeial髭男dism』『あいみょん』が並んでおり、今を時めく話題のアーティストたちと『嵐』は認知度としては同じくらいだと言える

乃木坂46』は『名探偵コナン』『ポケットモンスター』『ONE PIECE』などは、比較的たくさんの人に長期的に愛されているアニメが並んでおり、これらのコンテンツと同じくらいの認知度と言える

『King & Prince』は『機動戦士ガンダム』『スターウォーズ』『ドラゴンクエスト』が比較的近めなので、「名前は知っている」という感じの認知度の高さを伺えると思う

 

続いてSnow Manについて考えて行こうと思う

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マッピング_ジャニーズ

先ほどのマッピンググラフに赤線を1本入れてみた

これは、事務所のTOPのFC会員数を誇る嵐(2,990,000人)と、現在FC会員数第3位に躍り出たKing & Prince(622,000人)を直線で結んだものである

見ると、Snow Manはこの線の根本あたりにいる

Kis-My-Ft2は少し離れて、リーチ力に対して支出喚起力が高めに出ている

Kis-My-Ft2Snow Manは支出喚起力でランクインしていたため、両グループとも認知度に対する売上が高いということなので、起用すると思った以上に売り上げに貢献できるグループという認識をされるのではないかと思う

Snow Manに関しては、現在の方向性で一般認知が高まっていけば、King & Princeや嵐のように、リーチ力と支出喚起力が比例して伸びていくのではないかと思うし、そうなって欲しいと感じる結果であった

 

 

⑤まとめ

以上が私なりに提示された情報を読み解いたものである

なお、このランキングは2020年2月にアンケート実施されているため、それから半年経った今、どう変化しているか気になるところである

また、このランキングに載るということは、高い認知度であったり、高い売上を期待されるということ

リーチ力の高いコンテンツを使えば、視聴率が取れると判断されるかもしれない

支出喚起力の高いコンテンツを使えば、売上が伸びるのではと期待されるかもしれない

特に、Snow Manはデビューしたばかりで、おそらくタレント起用に対するコストはさほど高くなく、費用対効果が高いと思って起用していただける可能性は十分に考えられる

博報堂がオフィシャルで提示しているランキングのため、タレント起用する側も多かれ少なかれ参考にするところも多いと思う

 

このことから、Snow Manに関して言えばデビュー年という話題性と、コストに対して売上が期待できるタレントということで、様々な業界で起用される可能性が高い

その時、私たちにできることは、「期待されている売上をちゃんと出せること」だと考える

「確かに起用したら想定以上の売り上げになった」「想定以上の話題性があった」という結果を残すことで、起用する企業からの信頼を勝ち取ることができるだろうし、次に繋がるのだ

 

今、ファンは恐らく増加傾向で、これからも様々なことがあると考えられる

ほんの少ししかSnow Manを知らない人、知ったかぶる人だって出てくる

しかし、これらはそれだけ「裾野が広がっている」ということなのではないかと思う

その時に、昔から応援している人、最近でもしっかりお金を出して本気で応援している人にとって、鼻につくような言動はたくさんあることは容易に想像できる

でも、Snow Manにとって「支出喚起力」だけをあげることよりも、「リーチ力」も同時に上げていくほうがずっと意味があると思う

そのため、苦い気持ちになったり、イラッとすることがあっても、「なんとなくSnow Manに好意を持つ人」を増やすことは決して悪いことではないので、そこに一つ一つ引っかかって論争するようなことは控えたいなぁと考える

Snow Manを起用したら「話題性」も「売上」も高く出るけれども、「ヲタク同志」が喧嘩している、悪い意味でも「話題性」があるとなると、やはり次には繋がりにくい

 

今私たちにできることは、せっかくの「チャンス」をしっかりSnow Manが繋ぎ止めるために、足を引っ張ることなく、背中を押してあげるようなヲタ活をすることではないかなと考える